復職の日が近づいてきたけど、
同じ部署に戻るのが怖い…。
異動をお願いしてもいいのかな。
その相談、してかまいませんよ。
ただ、伝え方で結果が変わります。
復職の日が決まると、ほっとするどころか、かえって不安が強くなることがありますよね。
「あの部署に戻るのか」と考えるだけで、体がこわばってしまう。
そんな状態で「異動させてください」と言っていいのか、迷っている方も多いと思います。
結論から言うと、異動の相談はしてかまいません。
ただ、決めるのは勤務先です。希望を出せば必ず通る、というものではありません。
だからこそ、何をどう伝えるかで結果が変わってきます。
この記事では、復職までの流れ、異動の相談のしかた、戻る前に確認しておきたいことを順にまとめました。
休職の手続きや傷病手当金については、こちらの記事をご覧ください。
▼この記事を書いた人
看護師ゆま
4人の子を持つ母親。
新人時代はブラックな働き方で全身に蕁麻疹を発症!
育休産休を取得して職場復帰するも、時短勤務の肩身の狭さを痛感…
先に、この記事の結論をまとめておきますね。
| 知りたいこと | 結論 |
|---|---|
| 異動は相談できる? | できる。ただし決めるのは勤務先で、希望が通るとはかぎらない |
| 原則はどちら? | 厚労省の手引きでは慣れた職場への復帰が原則。発症の経緯によっては異動が望ましい場合もある |
| 誰に相談する? | 決まった順番はない。勤務先の相談窓口をまず確認する |
| 診断書の使い方 | 異動を通すための書類ではない。仕事内容と負担を主治医に伝え、必要な配慮について意見をもらう |
| 復職の決定は誰が? | 主治医や産業医の意見をふまえ、最終的には事業者(勤務先)が決める |
| 戻るのが難しいときは | 療養を続ける/休職の延長を相談する/部署を変える/職場を変える |
同じ部署へ戻るのが不安なとき、異動は相談できる?
厚生労働省の手引きに書かれているのは、原則と例外の両方です。
まず原則を押さえてから、どんなときに例外が検討されるのかを見ていきましょう。
原則は「慣れた職場への復帰」
厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、元の慣れた職場へ復帰させることが原則とされています。
新しい環境そのものが負担になるからです。
人間関係も仕事の進め方も、一から覚え直しになります。
体調が戻りきっていない時期に、それを同時にやるのは重い。そういう考え方です。
それでも配置転換が検討される場合がある
一方で同じ手引きには、発症の経緯によっては配置転換や異動が望ましい場合もあると書かれています。
過重な業務量、特定の人との関係、その部署の勤務体制。
不調の原因が部署の中にあったのなら、その要因への対応や配置転換の必要性が検討されることになります。
つまり「必ず元の部署」でも「希望すれば異動」でもないわけです。
出典:厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
決めるのは勤務先
手引きでは、主治医や産業医の意見をふまえたうえで、最終的な復職の決定は事業者が行うとされています。
看護部の人員配置や、他部署の受け入れ状況も関わってきます。
だから「異動させてください」とだけ伝えても、話が前に進まないことがあるのです。
必要なのは希望そのものより、その希望が必要だと考える理由を示すことになります。
復職・異動の相談で伝えること
何をどう伝えるかで、受け取られ方は大きく変わります。
順番に見ていきましょう。
まず、勤務先の相談窓口を確認する
「主治医のあと上司、そのあと産業医」と決まっているわけではありません。
復職の相談を受ける窓口は、病院によって違います。
- 看護部長・副看護部長
- 所属の師長
- 人事課・総務課
- 産業医や産業保健スタッフ
- 健康管理室や相談窓口
誰が復職面談を担当するのかは、就業規則や職員向けの案内で確認できます。
はっきりしないときは、休職の手続きをしたときの担当者に聞くのが早道です。
主治医には「仕事の中身」を具体的に伝える
診断書は、異動を通すための書類ではありません。
主治医が判断できるのは、あくまで医学的に必要な就業上の配慮です。
そのためには、あなたの仕事の中身を知ってもらう必要があります。
| 伝えること | 具体例 |
|---|---|
| 勤務の形 | 2交代か3交代か/夜勤の回数/連続勤務の日数/通勤時間 |
| 業務の量・役割 | 受け持ち人数/重症度/急変対応/リーダー業務/後輩指導/記録にかかる時間 |
| 負担に感じた場面 | どの業務・どの時間帯で症状が出たか |
| 今の状態 | 睡眠/日中の活動/集中力/服薬後の眠気 |
この表は、復職できるかどうかを判断するためのものではありません。
仕事の中身と今の状態を主治医に伝えるための、手元のメモとして使ってください。
そのうえで「どこまでなら働けるか」について意見をもらいます。
夜勤を外す。残業を制限する。受け持ちを減らす。
こうした配慮が医学的に必要だと判断されれば、その内容が診断書に書かれることになります。
面談で話す順番
話す中身は、この順番で整理しておくと伝わりやすくなります。
- 事実…休職に至るまでに何があったか
- 今の状態…どこまで回復しているか
- 希望…どう働きたいか
- 必要とされている配慮…主治医から示されているもの
- 調整できそうな条件…相談の余地がある部分
希望に加えて、主治医から必要とされている配慮と、自分で調整できそうな条件を分けて伝えましょう。
無理に譲れる条件を作る必要はありません。
元の部署への復帰が難しいなら、その理由を具体的に伝えたうえで、異動や業務調整を相談してください。
参考:厚生労働省「こころの耳|職場復帰」
復職までの流れ
復職までの道すじは、厚生労働省の手引きで5つのステップとして示されています。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 第1 | 病気休業開始および休業中のケア |
| 第2 | 主治医による職場復帰可能の判断 |
| 第3 | 職場復帰の可否の判断および職場復帰支援プランの作成 |
| 第4 | 最終的な職場復帰の決定 |
| 第5 | 職場復帰後のフォローアップ |
休職している間も、勤務先との連絡や窓口の確認は続きます。
復職に向けて動き出すのは、主治医に「働ける状態」と判断してもらい、その診断書を勤務先に出すところからです。
この手引きどおりに進むとはかぎらない
ここは押さえておきたい点です。
この手引きは、事業者に義務づけられたものではありません。
職場復帰支援の考え方を示した資料にすぎないので、実際の流れは勤務先の就業規則や運用によって変わります。
そもそも私傷病の休職は、法律で定められた制度ではありません。
それぞれの職場が就業規則で決めている仕組みです。
だから手引きを読むだけでは足りず、自分の職場の規定を確認することがいちばん確実になります。
復職前に確認したい勤務条件と支援体制
復職の日を決める前に、確認しておきたいことがあります。
聞きにくいと感じるかもしれません。
でも、あとから「そんな話は聞いていない」となるほうがつらいはずです。
試し出勤の制度があるか
手引きには、正式な復職の前に段階を踏む方法が紹介されています。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 模擬出勤 | 勤務時間に合わせて、図書館などで過ごしたり軽作業をしたりする |
| 通勤訓練 | 自宅から職場の近くまで行き、一定時間過ごしてから帰る |
| 試し出勤 | 職場に一定期間、継続して出勤してみる |
いきなりフルタイムで戻るより、体を慣らせるのが利点です。
ただし、取り扱いは事前に確認しておく必要があります。
- この期間に賃金は支払われるのか
- けがなどが起きたときの扱いはどうなるのか
- 期間はどれくらいか、誰が終了を判断するのか
賃金が出ない形で長く続くと、生活の面で負担になってしまいます。
制度があるかどうかも含めて、勤務先に聞いてみてください。
そのほかに確認したいこと
| 確認すること | 確認する理由 |
|---|---|
| 夜勤の免除はいつまでか | いつから元の勤務に戻るのかが見通せる |
| 時短勤務から始められるか | 体力の戻り具合に合わせられる |
| 復職後の面談は誰と、どの頻度であるか | 不調のきざしを早めに相談できる |
| 受け持ちや役割の調整はどこまで可能か | 復帰直後の負担を減らせる |
| 再び体調を崩したとき、休職期間は通算されるか | 次の見通しが立つ |
これらはすべて、勤務先ごとに違います。
「一般的にはこう」ではなく、自分の職場ではどうなのかを聞いてくださいね。
復職が難しいと感じたときの選択肢
復職の日が近づいても、体が動かないことがあります。
その状態で無理に戻れば、また休むことになりかねません。
選択肢は、辞めるか戻るかの二択ではありません。
1.療養を続ける・休職の延長を相談する
まず考えたいのが、この選択です。
主治医が「まだ働ける状態ではない」と判断するなら、その意見を勤務先に伝えます。
休職を延長できるかどうかは、就業規則で決まっていることがほとんどです。
- 休職できる期間は最長どれくらいか
- 延長を申し出る手続きと期限
- 延長した場合の給与や社会保険料の扱い
- 期間が満了したらどうなると書かれているか
傷病手当金は支給を開始した日から通算1年6か月が上限なので、期間の見通しもあわせて確認しておきましょう。
休職期間の満了が近いとき
休職期間が満了しても復職できない場合、就業規則にもとづいて退職扱いになることがあります。
もっとも、その判断が適切かどうかは、回復の状況、契約上の仕事の内容、配置できる業務があるかなど、個別の事情によって変わります。
厚生労働省が紹介している配置替えの裁判例も、職種や業務内容を特定していない正社員を前提としたものです。
見通しが立たないまま満了日が近づいているなら、早めに勤務先の窓口へ相談してください。
判断に納得できないときは、総合労働相談コーナーなど外部の窓口に相談する方法もあります。
参考:厚生労働省「確かめよう労働条件|退職」
2.部署を変えて続ける
今の勤務先で働き続けながら、担当業務や人間関係を変えられる可能性があります。
ただ、異動先や勤務条件によっては、給与や通勤先が変わることもあるため確認が必要です。
前の章でお伝えした伝え方で、あらためて相談してみてください。
3.職場を変える
部署の異動が難しく、いまの働き方も続けられない。
そのときに出てくるのが転職という選択です。
体調が戻っていない時期に、急いで決める必要はありません。
まずはどんな働き方があるのかを知るところから始めてみましょう。
求人の中身まで知りたくなったら、転職サービスに希望条件を相談する方法もあります。
レバウェル看護は、看護師・准看護師・保健師・助産師の資格を持つ方が無料で使える転職サポートサービスです。
登録するとアドバイザーから連絡があり、そのあとのやり取りはLINEやメールも選べます。
「今すぐ転職したい」と伝える必要はありません。情報だけ集めたい段階でも相談できます。
看護師の休職からの復帰についてよくある質問
最後に、よく寄せられる疑問をまとめておきますね。
- 休職中に転職活動をしてもいい?
- 復職せずにそのまま辞められる?
- 休職歴は転職先に伝える必要がある?
- 診断書は何回も出す必要がある?
- 傷病手当金は復職後も受け取れる?
休職中に転職活動をしてもいい?
法律で禁じられているわけではありません。
ただ、傷病手当金は「仕事に就くことができないこと」が支給の条件です。
療養が必要な状態で無理に動けば、回復が遅れることもあります。
主治医に今の状態を確認してから考えるほうが安全ですよ。
復職せずにそのまま辞められる?
復職せずに退職することは可能です。
ただし、契約期間の定めがあるかどうかで退職のルールが変わるため、雇用契約書と就業規則を確認してください。
もうひとつ注意したいのが、社会保険の扱いです。
傷病手当金を受け取っている場合、退職後も受け取れるかどうかが変わります。
決める前に、加入している健康保険に確認しておきましょう。
休職歴は転職先に伝える必要がある?
応募書類や面接で聞かれたとき、事実と異なることを答えるのは避けてください。
経歴を偽ったと判断されると、あとで問題になりかねません。
一方で、聞かれていない病名まで自分から詳しく話す義務はありません。
伝えるとしたら、この3点で足ります。
- 体調を崩して一定期間休んだこと
- 現在の体調と、働くうえで必要な配慮
- どんな働き方なら続けられるか
「今は働ける状態にある」と伝われば、話は前に進みますよ。
診断書は何回も出す必要がある?
休職の開始時と復職の申請時に求められるのが一般的です。
休職が長引く場合、定期的な提出を求める職場もあります。
必要な回数と様式は勤務先によって違うので、窓口に確認してください。
診断書は自費になることが多いため、費用の面でも回数を知っておくと安心です。
傷病手当金は復職後も受け取れる?
復職して通常どおり働ける状態になった場合、原則として対象ではありません。
一方、療養のため働けないなどの支給要件を満たす期間に、傷病手当金より少ない給与が支払われたときは、その差額が支給されます。
時短勤務で給与が減っただけでは、差額は支給されません。
1日あたりの支給額は「支給開始日以前の直近12か月の標準報酬月額の平均÷30×3分の2」で計算します。
単純に給与の3分の2ではない点に注意してくださいね。
なお、加入期間が12か月に満たない場合は計算方法が異なります。
支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月です。
復職して傷病手当金が支給されなかった期間は、この通算に含まれません。
そのため、同じ病気で再び働けなくなったとき、残りの期間について受けられる場合があります。
なお、退職後に受け取る場合(資格喪失後の継続給付)は扱いが違い、いったん働ける状態になると、その後ふたたび働けなくなっても継続給付は再開されません。
自分がどれに当てはまるかは、加入している健康保険(協会けんぽや健康保険組合)に確認してください。
参考:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」
【まとめ】復職の希望は伝えていい|決めるのは勤務先
大事なところをまとめます。
- 異動の相談はしてかまわない。ただし決めるのは勤務先
- 厚労省の手引きでは慣れた職場への復帰が原則。発症の経緯によっては異動が望ましい場合もある
- 相談窓口は職場によって違うので、まず確認する
- 診断書は交渉の道具ではない。仕事の中身を主治医に伝え、必要な配慮について意見をもらう
- 試し出勤の制度があるなら、賃金や事故時の扱いを事前に確認する
- 戻るのが難しいときは、療養の継続や休職の延長という選択もある
復職の日が近づくと、焦りが出てきますよね。
でも、休職は逃げではありません。体を立て直すための時間です。
復職の可否や配置を判断するのは勤務先ですが、希望や不安は伝えてかまいません。
主治医や勤務先と相談しながら、療養を続けることも含めて、これからの働き方を考えていきましょう。

