夜勤や人間関係が辛くて辞めたい…でも40代だと今から違う仕事は難しい?
40代看護師の転職の方向性は3つあります。
- 職場を変える
- 看護師資格を活かして
異なる業種に転職する - 看護師を辞めて
全く別の業種に転職する
40代からでも他職種に転職できる可能性は十分あります。
この記事では、40代看護師が転職する際のよくある後悔や注意点について詳しく解説します。
さらに40代看護師から他職種に転職した実体験もご紹介。
今の辛い状況から抜け出し、次の一歩を踏み出したい人は、ぜひ最後までご覧ください。
40代看護師が転職で失敗しないための注意点
40代看護師の転職でよくある後悔

40代は家庭や体力の負担が大きくなる時期なので、働き方の理想と現実にズレがあるほど後悔しやすくなります。
転職でよくある後悔は、以下の3つです。
- 人間関係の問題が
解消されなかった - 待遇や勤務条件が
思っていたものと違った - 新しい環境に
うまくなじめなかった
一つずつみていきましょう。
1.人間関係の問題が解消されなかった
前の職場の悩みがそのまま続いてしまうパターン。
見学が短かったり、師長や一緒に働くスタッフの雰囲気をよく確認しないまま転職すると起こりやすいです。
「相談しづらい」「空気がピリピリしている」など、目に見えない部分で後悔する人が多い傾向です。
2.待遇や勤務条件が思っていたものと違った
求人票に書いてあることと、実際が違うケース。
- 夜勤回数が想定より多い
- 残業が慢性的
- 休憩が取れない
- オンコールが想定以上
- 手当の対象が試用期間は外れていた など
労働条件の書類をもらっても、細かい部分は書かれていないことが多いため、後で「聞いてない…」となりがち。
3.新しい環境にうまくなじめなかった
40代は即戦力扱いされやすく、教えてもらえる前提で入るとギャップが生まれやすいので注意しましょう。
- 電子カルテの操作方法や
手順が全く違う - 教育がほぼない
- 独り立ちが早すぎる
- 相談できる相手がいない など
職場によっては「見て覚えて」の文化が残っていて、
それが負担になることも…。
後悔しないための注意点

後悔しないためには、応募前〜内定後の各タイミングで、働き方の“実態”を細かく確認することが大切です。
押さえておきたいポイントは以下の3点です。
- 情報を自分で積極的に取りに行く
- 給与・待遇面を細かく確認する
- 入職後のフォロー体制を確認する
順番に解説します。
1.情報を自分で積極的に取りに行く
求人票やホームページだけでは分からない部分は、面接や見学で直接確認しましょう。
- 残業の平均時間
- 夜勤人数体制
- 休憩は実際に取れているか
- 離職理由や人間関係の雰囲気
- 配属先の確定状況
(どのフロア・どのエリアになるか) - オンコールの出動頻度(訪問看護の場合)
「絶対に知りたいこと」を3つくらい決めておくとブレません。
質問を事前に用意しておくと
安心です!
2.給与・待遇面を細かく確認する
労働条件通知書に書かれていない部分は、必ず質問して把握しておきましょう。
- 基本給と手当の内訳
- 夜勤手当・資格手当・通勤手当
- 試用期間中の給与の違い
- ボーナスの計算方法
- 休み希望の通りやすさ
- シフトがいつ確定するか
40代看護師の働きやすさは生活との両立がポイント。
待遇のミスマッチは
早めに気づくことが大切です。
※労働条件通知書とは…
雇用契約を結ぶ際に、病院など(雇用主)が労働者に対して、勤務時間、給与、休暇、勤務地、などの労働条件を明示する書面。
看護師の転職面接時に渡される場合が多いが、正式な労働条件通知書は内定後に交付される。
入職後のフォロー体制を確認する
40代は「即戦力」と期待されやすく、教育が省略されたり簡単になる場合があります。
特に経験のない分野への転職時は、入職後に戸惑いやすいため、事前に教育体制を確認しておきましょう。
- プリセプター(教育担当)の有無
- どれくらいの期間サポートがあるか
- 独り立ちの目安
- 困ったときの相談相手がいるか
職場の実態についての情報収集を丁寧に行うことで、転職で後悔するリスクを減らせます。
40代で看護師を辞めたいと感じる理由

夜勤の負担や体力的な限界
40代になると、若い頃と同じ働き方では体がついていかず、「夜勤がしんどい」と感じる人が増えます。
- 夜勤明けの回復に時間がかかる
- 睡眠の質が落ちて疲労が残る
- 腰痛・肩こり・不眠など、
身体の不調が増える - 更年期の影響も重なりやすい
40代で家事・育児・親の介護をしながらの夜勤は、体力・精神的にも負担が大きいもの。
疲れが取れない、身体の不調がある…などが積み重なると、辞めたい気持ちは強まります。
家庭・育児・介護と両立が難しい
40代はライフイベントが重なりやすく、家庭との両立が難しいと感じると、「辞めたい」と感じる人も多いです。
40代は家庭でのタスクが増えやすく
- 子どもの送迎や習い事
- 怪我・病気で急な呼び出し
- 学校行事、保護者会
- 親の介護や通院付き添い
- パートナーの転勤
責任が増える一方で、病院のシフト勤務は柔軟性が低く、家庭との両立が難しくなるケースも。
「急に休めない」
「希望休が通らない」
状況が続くと、退職や転職を考える人は多くなります。
職場の人間関係がつらい
人間関係のストレスは、体力以上に消耗しやすく、辞めたい原因として最も多い悩みの一つ。
40代は若手とベテランの間で板挟みになり、人間関係のストレスが増えやすい時期。
- 新人指導・若手のフォロー
- 委員会・リーダー業務
- 師長からの期待とプレッシャー
現場の調整役として動く場面も多く、気を遣う相手が増える傾向です。
役割も重くなりやすい分、人間関係でのしんどさから辞めてしまいたいと感じます。
キャリアアップへの行き詰まり
40代になると「このまま同じ働き方を続けて大丈夫だろうか」という将来への不安から、今の職場を辞めたいと感じる人が増えます。
看護師経験が長くなるほど、
- この職場で今後も
ステップアップできるのか - 役職に興味がない、
役職は負担が重すぎる - 新しいスキルを学ぶ時間と気力がない
- 若い頃のように
吸収スピードが早くない
といった悩みも出てきます。
キャリアを積んだからこそ、
次のステージが見えず迷いが大きくなる年代です。
40代看護師の転職の方向性3つ

40代看護師の転職の方向性は以下3つです。
- 看護師のまま職場を変える
- 看護師資格を活かして
異なる業種に転職する - 看護師を辞めて
全く別の業種に転職する
順番に見ていきましょう。
1.看護師のまま職場を変える
- 「看護師の仕事は好きだけど、
今の職場がつらい」 - 「体力や家庭の状況に合わせて
働き方を変えたい」
という40代におすすめです。
病棟より負担が少ない職場や、日勤のみ・残業少なめの環境を選べば長く働き続けやすくなります。
| 職場 | 特徴・向いてる人 |
|---|---|
| 検診センター | 日勤のみ。ルーティン 多めで体の負担が少ない。 |
| 採血室・献血センター | 採血スキルを活かせる。 コミュ力重視。 時短勤務あり。 |
| 訪問看護 | 一人でアセスメント・ 判断できる人向け。 給料が高め。 やりがい大。 |
| 学校保健室 | 子どもの対応が中心。 長期休暇あり。 臨時・嘱託多め。 |
| 保育園・病児保育 | 子どもが好きな方向け。 連絡帳など事務あり。 |
「訪問看護に転職 後悔しない職場の選び方は?」の記事も併せてご覧ください。
2.看護師資格を活かして異なる業種に転職する
「臨床から離れたいけれど、看護師経験を活かしたい」人におすすめです。
医療の知識が評価されるため、40代でも挑戦しやすい領域が多い傾向。
| 職場 | 特徴・向いてる人 |
|---|---|
| 医療事務 | 医療の知識が活かせる。残業少なめの職場も。 |
| 医療系コールセンター | クレームより 相談系が多い。 体力負担が少ない。 |
| MR(医療情報担当者)/ CRC (治験コーディネーター) | 企業で働く医療職。 年収は高め。 学習が必要。 求人が少なく 競争率が高い。 |
| 看護学校講師 | 教えるのが 好きな人向け。 看護実習 引率などもあり。 教員資格不要の 学校もあり。 |
| 医療ライター | 在宅可。 文章が好きな人に。 |
| 介護職 | 肉体労働。 需要が高い。 経験が活きる。 |
| ケアマネ・保健師 ・養護教諭 | 資格取得が必要。 働き方や安定性を 求める人向け。 |
養護教諭と学校保健室勤務の看護師の違いは「保健室の先生は看護師免許のみでなれる?」、
企業看護師の概要は「企業看護師になるには?」の記事で解説しています。
併せてご覧ください。
3.看護師を辞めて全く別の業種に転職する
- 「看護師から完全に離れたい」
- 「気持ちを切り替えて新しいキャリアに進みたい」
という人に向いています。
3つの方向性の中で最も難易度は高くなりますが、未経験でも採用されやすい仕事を選べば、40代でも転職できる可能性は十分あります。
| 職場 | 特徴・向いてる人 |
|---|---|
| 事務職(総務など) | ルーティン多め。 PCスキルがあれば 強い。 |
| 営業(医療・福祉関連) | 車の運転や人との 会話が苦手でなければ 挑戦しやすい。 |
| カスタマーサポート | コールセンター系。 クレームより 相談が多い案件も。 |
| 福祉施設スタッフ | 障害者施設や 就労支援など。 介護より負担が 少ない所も。 |
40代看護師が転職活動を始める前に準備すること

40代看護師が転職活動を始める前に準備すべきことは以下の3つです。
- 退職・転職の
スケジュールを立てる - 自分の強みや働き方を
棚卸しする - 家族やパートナーと話し合う
一つずつ、解説します。
退職・転職のスケジュールを立てる
40代の転職を成功させるには「計画を立てること」が大切です。
看護師は人手不足で、引き止められやすく、辞める時期や引き継ぎに時間がかかる場合もあるため、転職スケジュールを決めましょう。
▼スケジュール例
1か月目:情報収集・求人探し
2か月目:面接・職場見学
3か月目:内定→退職手続き
4か月目:引き継ぎ→有給消化
5か月目:入職
病院によっては
- 退職の申告が「2か月前まで」
- 年度末以外の時期だと辞めにくい
といったケースがあるため、今の職場の就業規則も必ず確認しておきましょう。
最初に「辞める時期」を決め、そこを基準に逆算して動くと、ゆとりを持った転職ができます。
辞める時期については「看護師退職は何ヶ月前に伝える?」の記事も併せてご覧ください。
自分の強みや働き方を棚卸しする
40代の転職は「自分の軸」があるほど成功しやすいです。
できること・できないことがはっきりしている年代なので、自分の強みや希望条件を棚卸しすると職場選びの迷いが減ります。
- 自分の強み
例:
・採血が得意
・コミュニケーション力がある
・在宅看護が好き - 自分の苦手なこと
例:
・夜勤続き
・マルチタスク
・スピード勝負の業務 - 働き方の希望
例:
・日勤のみ
・残業少なめ
・子どもの行事で休みたい - 優先順位(譲れない条件上位3つ)
例:
①家庭との両立
②通勤距離
③人間関係の良さ
自分の強みや希望条件を棚卸ししないまま求人を見始めると「何を基準に選べばいいの?」と迷子になりがちです。
強みや希望条件は、
最初に書き出しておくと
判断がスムーズに!
家族やパートナーと話し合う
40代の転職は、家族の理解があるかどうかで働きやすさが大きく変わります。
育児・家事、親の介護などで、負担が増える時期なので、転職について切り出すと不安を持たれるのは当然です。
だからこそ大切なのは“この転職は家族にとってもプラスになるのか”を数字で一緒に考えること。
- 今のままだと何が困るのか
を共有する
例:
「夜勤明けがしんどくて
家のことが回らない」
「行事に行けない」
→家族が“今の問題”を
理解しやすい - 転職後にどう改善されるのか
をセットで伝える
例:
「日勤のみで家族の時間が
月◯時間増える」
「休日が取りやすくなる」 - 家計への影響を一緒に確認する
例:
年収が◯万円変わる、
家庭の収支は毎月◯円変動する、
扶養に入るかどうか
→数字で見せるだけで不安が減る
※家計管理が不安な人は、
まず家計の把握から始める
(家計管理の詳細は
「看護師は子育てと
両立できない?」の記事を
併せてご覧ください) - 家事・育児の分担を
“相談ベース”で話す
不満をぶつけるのではなく
「どうすれば上手く回るか」を
一緒に考える姿勢が大事。
転職により、
- どれだけ家庭の時間が増えるのか
- 収入がどう変わるのか
- 家庭への影響はどうなるか
を数字で予測しておくことが大切です。
数字は完璧に分からなくても、予測を立てているかどうかで
説得力は大きく変わる!
40代で看護師を辞めて違う仕事に転職した体験談

看護師から障害者施設の生活指導員に転職した Aさん(40歳)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 看護師から他職種に転職した時の年齢 | 40歳 |
| 看護師としての経験年数(転職当時) | 18年 |
| 転職前の働き方 | クリニック/日勤のみ/フルタイムパート |
| 転職後の働き方 | 障害者施設の生活指導員でパート(1年目) |
「看護師を辞めたい」と思ったきっかけを教えて下さい。
家庭とのバランスを考えて転職しました。
時間にゆとりを持ちたい
と考えたためです。
求人はどのように探しましたか?
ハローワークの求人情報を見て、紹介いただきました。
なぜ今の仕事を選びましたか?
半日勤務で無理なく働けそうと
感じたからです。
働き始めて良かった点、「失敗したかも…」と感じた点を教えて下さい。
- 良かった点:
同僚が良い方ばかりで
働きやすかったこと。 - 失敗したかもと感じた点:
毎日同じことの繰り返しなので、やりがいを感じにくいこと。
40代での転職は「難しい」と感じましたか?
福祉職で人手が少ない分野だったこともあり、
即採用いただきました。
40代ですが「転職は難しい」とは感じませんでした。
転職する際に「これはやっておいて良かった」と思うことはありますか?
“自分自身が何を大切に考えているか”
を振り返っておいたことです。
そのおかげで、
面接や履歴書も一貫性が出て、軸がブレなくなりました。
仕事内容が生活支援なので、
新たに必要なスキルはありませんでした。
同じように”辞めたい”と悩む40代看護師さんへ、アドバイスがあればお願いします。
看護師免許と経験があれば、
40代でも再就職はできると感じます。
もし今「辞めたい」と感じているなら、転職も一つの選択肢。
転職そのものはリスクがありますが転職“活動”はノーリスク。
求人を見たり、面接で話を聞いたりするだけでも、
今の職場と比較できて気づきが増えます。
動いてみて
「やっぱり今の職場が良い」
と思えば転職しなければいいだけ。
迷っているなら
転職活動だけでも始めてみると良いと思います。
40代の転職でよくある質問

看護師のやめどきはいつですか?
看護師は自分が「限界だと感じた時」がやめどきです。
とはいえ、一般的には下記のタイミングがスムーズに辞めやすい時期と言われます。
- 年度末(3月末)
人事異動や配置換えが行われるため、入れ替わりの流れに乗りやすい時期。 - ボーナスを受け取った後
(7月・12月)
区切りが良く、経済的にも安心。多くの看護師がこのタイミングを選びます。 - 求人が増える時期
(1〜2月、7月)
病院・訪看・クリニックの採用が増えるため、選べる求人数が多め。 - 看護研究や委員会活動が
一段落した後
大きな業務が終わって引き継ぎがしやすく、周囲に迷惑をかけにくい。
ただし、40代看護師は、体調の変化、子どもの予定、親の介護などで環境が変わりやすい年代。
無理を重ねて、自分の心や身体が病気になってしまっては看護師も続けられなくなってしまいます。
「このまま続けるのは難しい」と感じた瞬間が、あなたにとってのやめどきです。
40代看護師の月収はいくら?
40代正看護師の月収はおよそ32〜34万円で推移します。
准看護師の場合は約26万〜28万円と、正看護師よりも5〜7万円ほど低くなるのが一般的です。
「賃金構造基本統計調査(2023年)」によると、企業規模10人以上の医療機関では次のような結果でした。
▼ 40代看護師の平均月収(所定内給与額)
- 40〜44歳:32.3万円
- 45〜49歳:34.3万円
▼ 40代准看護師の平均月収
- 40〜44歳:26.6万円
- 45〜49歳:27.5万円
参考:E-STAT 厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査(2023年)より
看護師を辞めたら幸せになる?
看護師を辞め“心と生活のゆとり”が増え、幸せになったと感じる人は多いです。
ただし収入面は下がる可能性があります。
看護師を辞めた人の声を見ても、ポジティブな変化が目立ちます。
▼よく聞く「辞めて良かった理由」
- 夜勤がなくなり体が楽になった
- 家庭や自分の時間が増えた
- 子どもの行事に参加しやすくなった
- 人間関係のストレスから解放され精神的に安定した
一方で…
▼気をつけたいポイント
- 月収が下がる可能性が高い
- 仕事内容が物足りなく感じる人もいる
- 「もっと慎重に選べばよかった」と後悔するケースもある
そのため、辞める前に、収入、働きやすさ、やりがいなど「何を優先したいか」を決めておくことが大切です。
【まとめ】40代だからこそ自分らしい働き方を選ぼう

この記事では、40代看護師が転職する際の注意点や体験談を紹介しました。
転職で後悔を減らすために大切なのは、次の3つです。
- 情報を自分で積極的に取りに行く
- 給与・待遇面を細かく確認する
- 入職後のフォロー体制を確認する
40代は、これまでの経験から自分の軸がはっきりしてくる時期。
「どう働きたいか」を見直すのに、とても良いタイミングです。
無理を続けて心や家庭が壊れてしまう前に、動き出す勇気も必要です。
あなた自身と家族のために、今より少しでも楽に、安心して働ける職場を探してみましょう。


